─原著─
血液培養陽性小児重症細菌感染症における原因菌の変化
成相 昭吉1), 平出 智裕1), 堀江 昭好1), 小池 大輔1), 加藤 文英2)
1)島根県立中央病院小児科 2)同 新生児科
2007年1月から2018年12月までの12年間に,島根県立中央病院小児科において,入院時に行った血液培養検査で汚染菌を除く細菌が検出された日齢7以上15歳未満の基礎疾患のない重症細菌感染(serious bacterial infection;SBI)症例を電子カルテ診療録から抽出し,2007~2010年を前期,2つの細菌ワクチンに公費助成を得た2011~2018年を後期とし,原因菌の変化について検討した.
全体で58例(平均月齢22か月,月齢中央値11か月)が対象となり,4.8例/年であった.前期は25例,6.3例/年(同17か月と11か月),後期は33例,4.1例/年(同25か月と10か月)となり,後期では平均年間症例数が35%減少し(p<0.001),平均月齢は上昇した(p<0.001).
前期にもっとも多かった原因菌は肺炎球菌で,インフルエンザ菌,大腸菌が続いた.後期では大腸菌がもっとも多くなり,検出された12例のうち8例は基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌による尿路感染症であった.肺炎球菌とインフルエンザ菌は,それぞれ65%,77%減少した.一方,前期に認なかったA群レンサ球菌を3例認めた.
上位のSBIは前期では菌血症,髄膜炎であった.後期では尿路感染症,菌血症の順となり,菌血症は57%,髄膜炎は73%それぞれ減少し,尿路感染症は75%増加した.
地方の一医療機関においても,2011年以降,小児血液培養陽性SBIの原因菌は変化していた.
Key words | 小児, 重症細菌感染症, 菌血症 |
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連絡先 | 成相昭吉 〒693-8555 出雲市姫原4-1-1 島根県立中央病院小児科 |
受付日 | 2019年2月7日 |
受理日 | 2019年6月11日 |
小児感染免疫 31 (3):255─263,2019
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