─原著─
当科における小児の真菌血症の検討
井手 水紀1), 後藤 憲志1), 三宅 淳1), 屋宮 清仁1), 多々良 一彰1), 中嶋 洋介1), 寺町 麻利子1), 田中 悠平1), 山下 裕史朗1)
1)久留米大学小児科学講座
小児における真菌血症の特徴を明らかにすることを目的に,当院で経験した真菌血症について後方視的検討を行った.対象は2014年4月~2016年3月の2年間に,血液培養で真菌が検出された症例とした.症例は全8例,全例が基礎疾患を有していた.内訳は,新生児が3例と最多であり,先天性心疾患と悪性疾患が2例ずつ,内分泌疾患が1例であった.また,全例が中心静脈カテーテルを使用していた.検出菌はCandida albicansが3例,Trichosporon asahiiが2例,Candida parapsilosisが1例,Cryptococcus laurentiiが1例,Rhodotorula sp.が1例であった.分離された真菌においてfluconazole(FLCZ)とmicafungin(MCFG)の最小発育阻止濃度が高い菌株が検出されており,今後も薬剤感受性のモニタリングが必要と考えられた.また,T. asahiiの2例はMCFG予防投与中であり,抗真菌薬の予防投与症例ではブレイクスルー感染症に注意が必要であり,liposomal amphotericin B投与を検討する必要がある.
Key words | 小児, 真菌血症, 抗真菌薬, 薬剤感受性 |
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連絡先 | 後藤憲志 〒830-0011 久留米市旭町67 久留米大学小児科学講座 |
受付日 | 2019年2月7日 |
受理日 | 2019年6月4日 |
小児感染免疫 31 (3):241─245,2019
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