─原著─
小児肺炎マイコプラズマ肺炎入院症例に対するステロイド治療の有用性に関する検証
興梠 まり1), 後藤 芳充1), 神田 康司1), 近藤 康宏1)
1)名古屋第二赤十字病院小児科
2012年12月1日から2017年2月6日の期間中に,肺炎マイコプラズマ肺炎で当院に入院した179例のうち,ステロイドは135例,約3/4の症例で使用されていた.そのうち,20例で再発熱を認めていた.37.5℃以上が7日間持続かつlactate dehydrogenase(LDH)が480IU/Lを超えている重症肺炎20例と,それ以外の軽症肺炎159例に分けて検討した.軽症例でステロイド投与の有無で検討した結果,発熱期間や入院期間に差があるとは言えなかった.また,ステロイド投与群118例のうち,再発熱を認めた11例は有意に年齢が低く(5歳 vs 8歳,p=0.034),発熱からステロイド投与までの期間が短かった(5日 vs 6日,p=0.022).重症例のステロイド投与群17例のうち,再発熱の有無で検討した結果,再発熱群9例は非再発熱群8例と比較して有意にLDHが高かった(554IU/L vs 489IU/L,p=0.027).再発熱に寄与するLDHの値をROC解析したところ,LDH587.5IU/L以上で感度100%,特異度44.4%であった(尤度比1.8).以上から,軽症例に対するステロイド投与の有用性は証明できなかった.逆に早期にステロイドを投与することで再発熱を誘発している可能性があった.ステロイドは,軽症例には使用すべきでないと考えられた.
Key words | 肺炎マイコプラズマ肺炎, ステロイド治療, 小児肺炎 |
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連絡先 | 興梠まり 〒466-8650 名古屋市昭和区妙見町2-9 名古屋第二赤十字病院小児科 |
受付日 | 2018年8月13日 |
受理日 | 2019年4月23日 |
小児感染免疫 31 (3):227─233,2019
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