機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

川崎病治療におけるガンマグロブリン1g/kg単回投与適応症例の抽出

安江 志保1), 平手 友章1)

1)岐阜市民病院小児科


心合併症リスクの低い川崎病症例への治療軽減について検討した報告は少ない.当施設で2012年6月~2015年5月の3年間に治療した川崎病106例について後方視的に検討した.群馬スコア≧5点,生後6か月未満,白血球数≧15000かつCRP≧12mg/dL,診断日第8病日以降,心合併症ありのいずれかを満たす症例はIVIG2g/kg+プレドニゾロン(PSL)で治療,満たさない症例はIVIG1g/kg×2日間で治療を予定し,治療反応良好例のみ1g/kgで終了するという方針で治療を行った.結果,IVIG1g/kgのみで治療を終了した症例(A群)が48例,IVIG1g/kg×2日間投与を行った症例(B群)が17例,初期治療としてIVIG2g/kg+PSLで治療を行った症例(C群)が41例であった.心合併症をB群に1例,C群に4例認め,うち2例が後遺症を残した.A群において心合併症の発症はなく,川崎病にはIVIG1g/kg単回投与で治療可能な症例が存在し,ハイリスク児を除外することで治療軽減が可能であると考察された.

Key words 川崎病, ガンマグロブリン, 投与量1g/kg, 群馬スコア
連絡先 安江志保 〒501-1194 岐阜市柳戸1-1 岐阜大学医学部附属病院小児科
受付日 2018年7月24日
受理日 2019年4月23日

小児感染免疫 31 (3):220─226,2019

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