機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

川崎病の初回静注用免疫グロブリン大量療法の不応リスクについての検討

藤川 皓基1), 佐藤 友紀1), 舩木 慎太郎1), 下薗 広行1), 松原 啓太1)

1)地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立舟入市民病院


背景:川崎病に対する静注用免疫グロブリン(IVIG)大量療法の有効性は確立しているが,一定の割合で不応例が存在する.本邦で用いられている小林スコアは不応予測に有用であるが,IVIGの投与方法が1.0 g/kg×2日間と現在の主流とは異なっている.また,低Na血症は小林スコアの項目の1つとして挙げられている一方で,IVIGは製法の違いからNa濃度に大きな差がある.
目的:製剤選択を調整した上で,現在の主流であるIVIG 2.0g/kg単回投与における小林スコアの各項目の不応の寄与度を評価すること.
対象と方法:2013年4月から2017年12月までの期間に当院に入院した川崎病患児473名中,解析可能であった343名を対象とした.初回IVIG投与には現在川崎病への適応のある4剤の内,当院で採用している3剤のいずれかを使用し,小林スコアの各項目およびIVIG製剤を説明変数とし,ロジスティック回帰分析を行った.
結果:各説明変数のうちオッズ比が最も高かったのは血清Na(オッズ比[OR]4.31,95%信頼区間[CI]2.19~8.49)で,以下好中球比率(OR 3.88,95%CI 2.00~7.50),AST(OR 2.77,95%CI 1.48~5.17)と続いた.その他の項目の寄与はp≧0.05と有意でなかった.また,製剤間でIVIG不応の頻度に差は認めなかった(p=0.16).
結論:小林スコアの項目中,低Na血症が最も不応に寄与していたが,Na含有量の異なる製剤間においてIVIG不応の頻度は変わらなかった.

Key words 川崎病, IVIG不応, IVIG製剤, 低Na血症, 小林スコア
連絡先 藤川皓基 〒734-8530 広島市南区宇品神田1丁目5-54 県立広島病院新生児科
受付日 2018年7月5日
受理日 2019年4月16日

小児感染免疫 31 (3):213─219,2019

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