─症例報告─
発症後初期のMRI検査で診断できなかった化膿性リスフラン関節炎
安河内 悠1), 小川 英輝2), 庄司 健介2), 宮入 烈2)
1)国立研究開発法人国立成育医療研究センター教育研修センター 2)同 感染症科
小児における足部の化膿性関節炎はまれである.発症後早期の造影MRI検査で診断できず,繰り返しMRI検査を行うことで診断し得た,化膿性リスフラン関節炎を経験した.生来健康な7歳男児で,発熱と右足背部痛で発症した.第2病日の造影MRI検査で関節・骨髄の造影効果は認めず,蜂窩織炎の疑いで入院となった.抗菌薬による治療を行ったが,蜂窩織炎の経過としては症状の改善は緩徐であった.第13病日に造影MRI検査を再検し,足根間関節とリスフラン関節の造影効果,足根骨・踵骨・第2~4趾中足骨骨髄に造影効果を認め,化膿性関節炎および骨髄炎と診断した.起因菌は不明であったが,バンコマイシンにより症状の改善が得られたため,MRSAの関与も考慮された.第34病日に内服抗菌薬へ変更し,退院となった.第47病日の造影MRI検査で骨髄浮腫の残存を認め,慢性骨髄炎としてST合剤で計6か月間の抗菌薬治療を行った.足部の化膿性関節炎を疑う症例で発症後早期に異常を認めない場合は,繰り返しMRI検査を行うべきである.
Key words | 化膿性関節炎, 足根間関節炎, リスフラン関節炎, 造影MRI検査 |
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連絡先 | 安河内悠 〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1 国立成育医療研究センター教育研修センター |
受付日 | 2018年12月11日 |
受理日 | 2019年3月12日 |
小児感染免疫 31 (2):169─174,2019
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