─症例報告─
治療抵抗性の川崎病にマクロファージ活性化症候群を合併したことで全身型若年性特発性関節炎が強く疑われた1乳児例
齋藤 真希1), 平野 大志1)
1)東京慈恵会医科大学附属病院小児科
緒言:全身型若年性特発性関節炎(sJIA)の臨床症状は川崎病と類似点が多く,特に乳児例は関節症状の客観的評価が困難なため診断に苦慮する例が多い.
症例:6か月男児.前医で川崎病の診断のもと,免疫グロブリン大量療法とプレドニゾロンの併用投与にもかかわらず解熱が得られなかったために紹介入院となった.入院後,インフリキシマブを投与するも不応であり,最終的に血漿交換療法によって解熱が得られた.しかしその後,2系統の血球減少,フェリチン値の著増,骨髄での血球貪食像等よりマクロファージ活性化症候群(MAS)の診断に至った.さらに,サイトカイン測定の結果,川崎病罹患時に認められるIL-6の上昇は軽度で,sJIAに特徴的なIL-18が著明に上昇していたため臨床経過と併せて,MASを合併したsJIAが強く疑われた.シクロスポリン,副腎皮質ステロイド投与により病勢コントロールが可能となり,現在1年経過しているが,症状の再燃を認めていない.
結語:川崎病とsJIAの鑑別にサイトカインプロファイルが有用であると考えられた.
Key words | 川崎病, 全身型若年性特発性関節炎, マクロファージ活性化症候群, サイトカインプロファイル, IL-18 |
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連絡先 | 齋藤真希 〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学小児科学講座 |
受付日 | 2018年7月9日 |
受理日 | 2019年2月14日 |
小児感染免疫 31 (2):143─150,2019
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