─症例報告─
肺炎球菌ワクチン接種後に非ワクチン関連血清型株による肺炎球菌菌血症を4回繰り返した小児例
加藤 健太郎1), 羽田 敦子1), 吉岡 孝和1), 秦 大資1)
1)田附興風会医学研究所北野病院小児科
肺炎球菌ワクチンの導入,定期接種化により,侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease;IPD)は大きく減少した.一方で,ワクチンに含まれない血清型によるIPDが問題となっている.明らかな免疫学的異常や解剖学的異常を合併しておらず,肺炎球菌予防接種を規定通り施行していたにもかかわらず,肺炎球菌菌血症を4回繰り返した1例を経験した.本症例では迅速に菌血症と診断し,抗菌薬加療を開始したことでいずれも軽快したが,治療の遅れは,敗血症ショックや髄膜炎などを併発し,死亡及び重篤な神経学的後遺症を残すリスクを伴う.現行のワクチンでは予防できないIPDがあることから,肺炎球菌予防接種に含まれる血清型の検討,新規ワクチンの開発,あるいはIPDハイリスク児に対する23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(23-valent pneumococcal polysaccharide vaccine;PPSV23)接種の積極的な推奨が望まれる.
Key words | 肺炎球菌, 13価結合型ワクチン, 莢膜血清型, Nontypable, 侵襲性肺炎球菌菌血症 |
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連絡先 | 羽田敦子 〒530-8480 大阪市北区扇町2-4-20 田附興風会医学研究所北野病院小児科 |
受付日 | 2018年9月20日 |
受理日 | 2019年2月12日 |
小児感染免疫 31 (2):137─142,2019
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