─症例報告─
健常小児に発症したPanton-Valentine leucocidin陽性メチシリン感受性黄色ブドウ球菌による下降性壊死性縦隔炎の1例
竹下 健一1,2), 星野 直1), 深沢 千絵1), 下条 直樹2)
1)千葉県こども病院感染症科 2)千葉大学大学院医学研究院小児病態学
下降性壊死性縦隔炎(descending necrotizing mediastinitis;DNM)は健常小児には稀な疾患であるが,今回,外傷・手術歴のない健常小児に発症した黄色ブドウ球菌によるDNM 11か月女児例を経験した.発熱5日目,意識障害で当院に入院となり,造影CTで咽頭後間隙から上縦隔・後縦隔,左胸腔に低吸収域を認めた.計5回の開胸デブリードマンと約1か月の抗菌薬投与によって後遺症なく軽快した.前医の咽頭培養,血液培養,当院入院時の左胸腔穿刺液培養,手術時の組織培養からメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され,Panton-Valentine leucocidin遺伝子が陽性だった.患児の基礎免疫は正常範囲内であり,原発性免疫不全症は否定的だった.重症感染症罹患時は,患者側の因子と菌側の因子双方から原因を精査することが大切である.
Key words | 下降性壊死性縦隔炎, 黄色ブドウ球菌, PVL, 健常児 |
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連絡先 | 竹下健一 〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学大学院医学研究院小児病態学 |
受付日 | 2018年6月14日 |
受理日 | 2019年1月6日 |
小児感染免疫 31 (2):131─136,2019
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