─症例報告─
消化器症状が乏しくSalmonella SchwarzengrundによるESBL産生非チフス性サルモネラ菌血症となった1例
葛西 健人1), 矢内 貴憲1), 西澤 崇1)
1)横浜南共済病院小児科
非チフス性サルモネラ菌(non-typhoidal salmonella;NTS)は細菌性腸炎の起因菌として重要である.NTS感染症の約1~5%で菌血症を呈し,抗菌薬治療においては主に第3世代セファロスポリンが使用される.
今回,消化器症状に乏しく,第3世代セファロスポリンでの治療が困難な基質拡張型β-ラクタマーゼ(extended-spectrumβ-lactamase; ESBL)産生NTS菌血症例を経験した.症例は生来健康な12歳男児で,持続する発熱を主訴に当科受診した.血液培養結果からグラム陰性桿菌による菌血症が確定し,セフォタキシムによる抗菌薬治療を開始したが症状は改善せず,ESBL産生Salmonella Schwarzengrund菌血症と判明した.2週間のメロペネム投与で治癒し,合併症や症状の再燃は認めなかった.
ESBL産生NTSについて,日本国内のNTSによる細菌性腸炎症例でESBL産生菌を便中から検出した報告はあるが,菌血症症例は本邦初例と思われる.
Key words | 非チフス性サルモネラ, ESBL, 菌血症, Salmonella Schwarzengrund |
---|---|
連絡先 | 葛西健人 〒250-8558 小田原市久野46番地 小田原市立病院小児科 |
受付日 | 2018年7月9日 |
受理日 | 2018年12月28日 |
小児感染免疫 31 (2):119─123,2019
- 第35巻
- 第34巻
- 第33巻
- 第32巻
- 第31巻
- 第30巻
- 第29巻
- 第28巻
- 第27巻
- 第26巻
- 第25巻
- 第24巻
- 第23巻
- 第22巻
- 第21巻
- 第20巻
- 第19巻
- 第18巻