─原著─
小児のYersinia enterocolitica感染症の臨床的検討
宇佐美 雅章1,2), 清水 正樹1,2), 谷内 裕輔1), 石川 さやか1), 岩井 和之1), 加藤 英治1)
1)福井県済生会病院小児科 2)金沢大学医薬保健研究域医学系小児科
Yersinia enterocoliticaは急性胃腸炎の代表的な起炎菌の一つであるが,わが国においてその小児例の臨床的特徴を検討した報告は少ない.今回我々は,1993年から2016年までの24年間に当院において便細菌培養検査でY. enterocoliticaが検出された16歳未満の小児98例について,その臨床的特徴を後方視的に検討した.男児55例,女児43例.32例(33%)が1歳以下の乳幼児であった.発生は夏に多く,臨床症状として,下痢を83例(85%),血便を14例(14%),嘔吐を23例(23%),発熱を63例(64%)に認めた.腹痛は50例(51%)に認められ,虫垂炎を疑うような右下腹部痛を28例に認めた.そのうち17例は下痢を認めなかった.乳幼児では下痢を呈する症例が多い一方,年長児では右下腹部痛を認める症例が多かった.乳幼児の長引く下痢を認めた際にはY. enterocolitica感染症を疑い,便細菌培養検査を考慮すべきである.また,虫垂炎様の症状を呈する場合,下痢を認めなくても回腸末端炎の原因として鑑別する必要がある.
Key words | Yersinia enterocolitica, 小児 |
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連絡先 | 宇佐美雅章 〒920-8641 金沢市宝町13-1 金沢大学医薬保健研究域医学系小児科 |
受付日 | 2018年6月4日 |
受理日 | 2019年2月14日 |
小児感染免疫 31 (2):111─118,2019
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