─原著─
千葉県こども病院で2013年から2016年に分離された小児臨床検体由来Haemophilus influenzaeの抗菌薬感受性,および血清型に関する検討
山本 翔大1), 深沢 千絵1), 草野 泰造1), 竹下 健一1), 星野 直1)
1)千葉県こども病院感染症科
2013~2016年に千葉県こども病院で小児臨床検体から分離されたHaemophilus influenzae 926株の抗菌薬感受性,並びに血清型に関する検討を行った.β-lactamase非産生ampicillin耐性株は35.7%で,当院の2000年以降のデータと比較して横ばいで推移していた.β-lactamase産生株は増加していた.全H. influenzaeに対するMIC90が低値であったのはtosufloxacin(TFLX)(≦0.06μg/mL),tazobactam/piperacillin(≦0.13μg/mL)であったが,TFLXは高度耐性株(MIC≧16μg/mL)が3株確認された.無菌部位から分離されたのは2株で,いずれも無莢膜型であった.莢膜株は全て非無菌部位から分離されたが,b型莢膜株(Hib)は2株のみで,非b莢膜株が28株(e型が14株,f型が14株)であった.当院の2000年以降のデータとの比較で,Hibの大幅な減少に対し非b莢膜株の増加はなく,血清型置換は認められなかった.現時点ではH. influenzaeの治療戦略の変更は必要なく,非Hib株による侵襲性感染症のリスクは低いと考えられるが,今後も継続したモニタリングが必要である.
Key words | Haemophilus influenzae, 薬剤感受性, 血清型 |
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連絡先 | 山本翔大 〒266-0007 千葉市緑区辺田町579-1 千葉県こども病院感染症科 |
受付日 | 2018年4月26日 |
受理日 | 2018年12月27日 |
小児感染免疫 31 (2):85─94,2019
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