─原著─
小児のStaphylococcus lugdunensisによる市中感染症と院内感染症の臨床像と細菌学的検討
桜井 博毅1), 堀越 裕歩1,2)
1)東京都立小児総合医療センター感染症科 2)同 免疫科
Staphylococcus lugdunensisは,病原性が低いコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の一種であるが,病原性の高いStaphylococcus aureusに近いとされる.S. lugdunensisは,市中および院内感染の起因菌となるが小児における報告は限られている.S lugdunensisの小児における臨床像と細菌学的特徴の検討を行った.2011年11月から2016年5月に当院で提出された臨床検体でS. lugdunensisが分離された菌株および電子診療録を用いて後方視的に症例の検討を行った.解析対象となった158検体のうち感染症例は14例,保菌例は144例であった.感染症例のうち6例が市中感染症,8例が院内感染症であった.市中感染症では皮膚軟部組織感染,院内感染では縦隔炎が多かった.全体の菌株の55%でメチシリン耐性であった.市中感染例でメチシリン耐性を認めなかったが,院内感染例では62%(5/8)でメチシリン耐性であった.小児でもS. lugdunensisは起因菌として重要であり,院内感染症例ではメチシリン耐性株がみられた.
Key words | Staphylococcus lugdunensis, 小児, 市中感染症, 院内感染症 |
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連絡先 | 桜井博毅 〒989-3126 仙台市青葉区落合4-3-17 宮城県立こども病院リウマチ・感染症科 |
受付日 | 2018年8月13日 |
受理日 | 2018年11月2日 |
小児感染免疫 31 (1):21─26,2019
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