機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

小児におけるインフルエンザ抗原迅速診断検査の陽性率に影響する因子

倉田 浩昭1), 神野 俊介2), 日高 智子1), 尾上 泰弘1), 菅 尚浩1), 高田 英俊3,4), 大賀 正一3)

1)田川市立病院小児科 2)九州大学病院グローバル感染症センター 3)同 大学院医学研究院成長発達医学 4)同 周産期・小児医療学


2016年1月から4月のインフルエンザ流行期に,発熱,頭痛,全身倦怠感,関節痛のいずれか一つ以上の症状を主訴に田川市立病院(以下「当院」という)の小児科を受診し,その後インフルエンザ抗原迅速診断検査を行った16歳未満の外来患者328例を対象として,インフルエンザ抗原迅速診断検査の結果を予測する患者背景と臨床像の検討を行った.インフルエンザ抗原迅速診断検査陽性に有意に関連していた因子は,0~2歳では,受診までの最高体温39℃以上,鼻汁,家族内のインフルエンザの発生,インフルエンザ予防接種歴で,3~15歳では,受診までの最高体温39℃以上,咽頭痛,咳嗽,保育園・幼稚園・学校でのインフルエンザの流行であった.また,3~15歳では,咽頭痛と咳嗽を呈する場合のインフルエンザ抗原迅速診断検査の陽性的中率は70%を超え,咽頭痛と咳嗽があり受診までの最高体温が39℃以上である場合の陽性的中率が77.8%と最も高かった.夜勤帯受診者に比べ日勤帯受診者における陽性的中率が高い傾向が認められた.インフルエンザ流行期に,咽頭痛と咳嗽の有無,受診までの最高体温は,インフルエンザ抗原迅速診断検査の効率的な適応を判断する有用な指標になると考えられる.

Key words インフルエンザ抗原迅速診断検査, 発熱, 咳, 咽頭痛, 陽性的中率
連絡先 倉田浩昭 〒825-8567 田川市糒1700-2 田川市立病院小児科
受付日 2018年1月29日
受理日 2018年10月18日

小児感染免疫 31 (1):13─19,2019

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