機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第31巻第1号目次 > 抄録

─原著─

小児科における呼吸器感染症病原微生物迅速抗原診断キットの臨床予測的中率に関する検討

武井 悠1,2), 石和田 稔彦3,4), 竹本 直輝1), 木谷 豊1), 佐藤 純一1), 下条 直樹2)

1)船橋市立医療センター小児科 2)千葉大学大学院医学研究院小児病態学 3)同 真菌医学研究センター感染症制御分野 4)五井病院小児科


背景:小児の感染症診療において迅速抗原診断キットは汎用されているが,必要性が低いと考えられる場面で用いられていることも多い.しかし,検査の適応,検査不要な臨床的状況や,的中率を検討した報告はない.
方法:2016年4月~2017年3月の1年間に小児科医10人を対象に,臨床現場で迅速抗原診断キット(インフルエンザウイルス,アデノウイルス,A群β溶血性レンサ球菌,肺炎マイコプラズマ,RSウイルス,ヒトメタニューモウイルス)を使用する際,予測する結果とその根拠を記載したのちに検査を行い,結果を自己記録した.結果に対する予測の一致件数の占める割合から予測的中率を検討した.
結果:209件が対象であった.検査前に陰性と予測した件数が半数近くを占めた.臨床予測的中率は0.74,陽性予測的中率は0.60,陰性予測的中率は0.89であった.経験年数別では小児科経験10年以上の群で陽性予測的中率が有意に高かった.予測の根拠では,流行歴に結果一致との弱い相関関係がみられた.
考察・結語:入院病床管理上,陰性確認が必要なこともあるが,少なくとも外来診療においては非流行疾患の陰性確認に迅速抗原診断キットを使用する必要性は低い.

Key words 迅速診断キット, 的中率, 検査の適正化, Choosing wisely
連絡先 武井 悠 〒260-8677 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学大学院医学研究院小児病態学
受付日 2018年1月29日
受理日 2018年9月10日

小児感染免疫 31 (1):7─12,2019

PAGE TOP