─原著─
健康小児にみられた帯状疱疹の特徴―1990年から2000年まで(11年間)と2001年から2017年まで(17年間)との比較―
寺田 喜平1), 若林 尚子1), 小野 佐保子1), 田中 悠平1), 加藤 敦1), 寺西 英人1), 宮田 一平1), 荻田 聡子1), 大石 智洋1), 大野 直幹1), 尾内 一信1)
1)川崎医科大学小児科
免疫抑制のないと思われる健康小児においても帯状疱疹は発症する.その理由の一つは,免疫が未熟な低年齢で水痘に罹患することである.われわれは1990年から2000年までの過去11年間にも同様に帯状疱疹の調査を行ったので,今回その調査と比較して水痘ワクチンの定期接種化による影響などを検討した.川崎医科大学附属病院小児科で2001年から2017年の約17年間に診断および治療を経験した免疫抑制がないと思われた小児の帯状疱疹を検討した.帯状疱疹患者は56名(男女比30/26名)があり,その年齢は3.9±4.0歳(mean ± SD),2歳と8歳にピークを認めた.部位は胸髄領域が55%と最も多く,次に腰髄領域が18%であった.痛みは,痛痒いものも含めると77%であった.水痘の発症年齢は33名中12名(36.4%)が1歳未満の発症であった.過去の11年間のデータと比較すると,健康小児における帯状疱疹は減少と低年齢化しており,水痘ワクチンの定期接種化により低年齢の水痘の減少が関連している可能性が示唆された.健康小児における帯状疱疹の特徴は,軽症で帯状疱疹後神経痛はなく,2割程度で痛みのないものもあった.
Key words | 小児期, 帯状疱疹, 水痘, 水痘ワクチン |
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連絡先 | 寺田喜平 〒714-0043 笠岡市横島1945 笠岡第一病院小児科 |
受付日 | 2018年3月20日 |
受理日 | 2018年9月3日 |
小児感染免疫 31 (1):3─6,2019
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