機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

小児顔面神経麻痺における単純ヘルペスウイルスまたは水痘・帯状疱疹ウイルスの関与

小澤 慶1), 西村 直子1), 鬼頭 周大1), 春田 一憲1), 野口 智靖1), 後藤 研誠1), 竹本 康二1), 尾崎 隆男1)

1)江南厚生病院こども医療センター


目的:小児顔面神経麻痺における単純ヘルペスウイルス(HSV)または水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)関与の実態を調査した.
対象と方法:2008年4月~2017年3月の9年間に,顔面神経麻痺で当院小児科に入院した22例(中央値年齢5歳1か月;8か月~14歳9か月)を後方視的に調査した.入院時および回復期血清のHSVおよびVZVに対するEIA抗体価(IgGおよびIgM)を測定し,19例ではPCR法により血液からのHSVおよびVZV DNA検出を行った.IgM抗体陽性,IgG抗体価の有意上昇,ウイルスDNA検出のいずれかを認めた場合HSVまたはVZV関与とした.
結果:22例中3例にHSVが関与し,9例にVZVが関与した.VZVの関与した9例中2例が水痘罹患後約2週間の発症,7例は抗体価からVZVの再活性化であった.ウイルスDNA検出例はなかった.8歳以上の7例全てがVZV再活性化で,うち2例はハント症候群を呈した.VZV関与例のうち2例が水痘ワクチン1回既接種で,水痘罹患後発症1例,VZV再活性化1例であった.全例が発症後5週間以内に麻痺の改善をみた.
結論:小児顔面神経麻痺の55%(12/22)にHSVまたはVZVが関与し,8歳以上の7例全てにVZVの再活性化が関与した.水痘ワクチン定期接種化後のVZV関与の動向に注目していきたい.

Key words 顔面神経麻痺, ベル麻痺, ハント症候群, 単純ヘルペスウイルス, 水痘・帯状疱疹ウイルス
連絡先 西村直子 〒483-8704 江南市高屋町大松原137 江南厚生病院こども医療センター
受付日 2017年12月11日
受理日 2018年7月31日

小児感染免疫 30 (3):197─203,2018

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