─症例報告─
ウイルス性敗血症を呈したヒトパレコウイルス4型感染症の新生児例
竹下 泰史1), 長谷川 菜摘1), 福田 和由1)
1)済生会中和病院小児科
ヒトパレコウイルス(HPeV)は,乳幼児において軽症の胃腸炎や呼吸器感染症の原因となることが知られているが,新生児や早期乳児ではまれに敗血症様症状や中枢神経障害をもたらし致死的となることがある.重症例の多くがHPeV3型(HPeV-3)によるものとされており,その他の遺伝子型における重症例の報告は極めて少ない.今回HPeV4型(HPeV-4)によりウイルス性敗血症を呈した新生児例を経験した.症例は生後11日目の女児,発熱を主訴に当院を紹介受診した.入院時は発熱以外の症状に乏しく哺乳も良好であり,中枢神経障害を疑う所見も認めていなかった.不明熱として抗菌薬を投与したが反応に乏しくウイルス感染症が示唆された.経過中に白血球増多,血小板減少,逸脱酵素の上昇,著明なFDP/Dダイマーの上昇を認め敗血症様症状を呈したが,ガンマグロブリン投与と支持療法のみで症状は改善した.その後,血清および便からHPeV-4が検出されHPeV-4感染症と診断した.極めて少ないながらもHPeV-4による重症化例も報告されていることから,新生児・早期乳児における重症感染症の原因としてHPeV-4も念頭におく必要がある.
Key words | ヒトパレコウイルス4型, 敗血症, 新生児 |
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連絡先 | 竹下泰史 〒633-0054 桜井市大字阿部323 済生会中和病院小児科 |
受付日 | 2018年1月18日 |
受理日 | 2018年4月26日 |
小児感染免疫 30 (2):153─157,2018
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