機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

Salmonella Poonaによる菌血症合併胃腸炎の2小児例

村木 國夫1,3), 日馬 由貴2)

1)富士市立中央病院小児科 2)国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンター 3)東京慈恵会医科大学小児科学講座


Salmonella Poona(S. Poona)は非チフスサルモネラの一血清型である.今回,S. Poona菌血症の2症例を経験した.症例1は6歳女児.河川で遊んだ2日後から発熱,下痢が出現し当科を受診した.発熱が続き,血液培養からサルモネラが検出されたため,セフトリアキソンで治療した.症例2は1歳男児.保育園で各家庭から持ち寄りでペットを飼育しており,その中にカメも含まれていた.発熱,下痢が出現し血液検査でCRP高値であったため前医から当科に紹介された.高熱,下痢が持続し,前医で施行した血液培養からサルモネラを検出したため,セフトリアキソンで治療した.2症例とも検出されたサルモネラはS. Poonaと同定された.非チフスサルモネラは生肉を介した食中毒の原因菌とされているが,S. Poonaは主に爬虫類を介して感染する.また,他の非チフスサルモネラと比べて血液への浸潤性が強いと考えられている.爬虫類との接触によるサルモネラ感染リスクの啓発,胃腸炎であっても発熱や下痢の持続時には血液培養を実施することが大切と考えられた.

Key words Salmonella Poona, 非チフスサルモネラ, 爬虫類, 薬剤耐性対策, ミドリガメ
連絡先 村木國夫 〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学小児科学講座
受付日 2018年1月11日
受理日 2018年4月13日

小児感染免疫 30 (2):133─138,2018

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