─症例報告─
血清型15A肺炎球菌による髄膜炎の1例
鈴木 純平1), 渡邊 季彦1), 清水 博之2), 船曳 哲典1)
1)藤沢市民病院こども診療センター小児科 2)横浜市立大学附属市民総合医療センター感染制御部
ワクチン非含有血清型(non-vaccine serotypes: NVTs)である血清型15Aによる肺炎球菌性髄膜炎を発症した10か月男児例を経験した.中耳炎を疑い抗菌薬で治療中に血液からレンサ状のグラム陽性球菌(gram positive cocci: GPC)が検出され,追加で採取した髄液検査からも同様のGPCを認めた.肺炎球菌性髄膜炎を疑いセフトリアキソン,バンコマイシンで治療を開始した.後に血液,髄液から肺炎球菌が検出された.また感受性試験結果からペニシリン耐性,メロペネム耐性の肺炎球菌と判明した.
結合型肺炎球菌ワクチン(pneumococcal conjugate vaccine: PCV)の普及に伴い肺炎球菌性髄膜炎は減少してきたが,NVTsによる肺炎球菌性髄膜炎は増加傾向にあり,依然として重症感染症である髄膜炎を見逃してはならない.また,本症例のようにペニシリン耐性率の高い血清型15Aの検出動向に注視する必要がある.
Key words | 肺炎球菌性髄膜炎, 血清型15A, ペニシリン耐性肺炎球菌, メロペネム耐性肺炎球菌 |
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連絡先 | 鈴木純平 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学附属病院小児科 |
受付日 | 2017年10月5日 |
受理日 | 2018年4月12日 |
小児感染免疫 30 (2):127─132,2018
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