─原著─
小児の侵襲性肺真菌症における診断方法と検査特性
米田 立1), 舟越 葉那子1), 石井 翔1), 荒木 孝太郎1), 村井 健美1), 福岡 かほる1), 相澤 悠太1), 堀越 裕歩1)
1)東京都立小児総合医療センター感染症科
本邦の小児における侵襲性肺真菌症の検査診断に関する報告は少なく,その特徴を後方視的に検討した.2010年3月~2017年3月の侵襲性肺真菌症の15例を対象とした.真菌の内訳はアスペルギルス属が10例,接合菌が2例,Pneumocystis jiroveciiが2例であった.清潔部位の培養検査で診断した確定例は3例であった.推定例は10例で,うち6例は抗原検査で診断した.アスペルギルス属では,培養検査で診断した症例は3例で,うち1例はガラクトマンナン抗原が陰性,2例は(1→3)-β-D-グルカン(beta-D-glucan:BDG)が陰性であった.ガラクトマンナン抗原で診断した症例は5例で,うち3例はBDGが陰性であった.Polymerase chain reaction(PCR)法で診断した症例は2例で,いずれも真菌抗原は陰性であった.P. jiroveciiは2例ともBDGが300pg/mL以上であり,著増しやすい傾向が示唆された.侵襲性肺真菌症は抗原検査が陰性であっても培養検査やPCR法が陽性となる例もあり,複数の検査を組み合わせて総合的に診断することが重要であると考えられた.
Key words | 侵襲性肺真菌症, 侵襲性真菌感染症, ガラクトマンナン抗原, (1→3)-β-D-グルカン |
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連絡先 | 米田 立 〒183-8561 東京都府中市武蔵台2-8-29 東京都立小児総合医療センター感染症科 |
受付日 | 2017年11月27日 |
受理日 | 2018年4月3日 |
小児感染免疫 30 (2):107─113,2018
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