─症例報告─
過度の啼泣で発症した生後5か月の晩発型GBS感染性硬膜下血腫
和泉 誠人1), 莊司 貴代1,2)
1)静岡県立こども病院総合診療科 2)同 小児感染症科
B群溶血性レンサ球菌(Streptococcus agalactiae: GBS)感染症は,早発型,晩発型,超晩発型に分類される.ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(Hib)と小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化と,ハイリスク群とされる早産・低出生体重児の増加に伴って,晩発型・超晩発型GBS感染症の重要性は増している.症例は早産・低出生体重児の既往のある生後5か月の男児で,過度の啼泣の持続と発熱の精査で感染性硬膜下血腫の診断に至った.緊急穿頭ドレナージ術を施行し抗菌薬治療で後遺症なく治癒した.術中検体からGBSが検出され,血清型はIbであった.超晩発型GBS感染症で発症した感染性硬膜下血腫例は初めての報告である.明らかな臓器症状がない持続的な啼泣は,重症な病態が背景にあることがあり注意を要する.神経症状や髄液異常所見がなくとも,適切な精査と治療により神経学的後遺症を残さないことが重要である.
Key words | B群溶連菌, 感染性硬膜下血腫, 超晩発型, late, late-onset disease |
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連絡先 | 和泉誠人 〒420-0953 静岡市葵区漆山860 静岡県立こども病院総合診療科 |
受付日 | 2017年6月5日 |
受理日 | 2018年1月5日 |
小児感染免疫 30 (1):39─44,2018
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