─症例報告─
Exophiala dermatitidisによるカテーテル関連血流感染症の2歳女児例
鈴木 貴大1), 山中 崇之2), 相澤 悠太2), 堀越 裕歩2)
1)東京都立小児総合医療センター総合診療科 2)同 感染症科
Exophiala dermatitidisは広く環境中に存在している黒色真菌であり,主に皮膚感染症の原因となる.免疫抑制者を中心に血流関連感染症の報告もあるが,小児における血流感染症の報告は,日本国内では存在しない.今回Exophiala dermatitidisによるカテーテル関連血流感染症の小児例を経験した.
症例は2歳女児,後腹膜奇形腫術後に短腸症候群となり,中心静脈栄養を行っていた.入院3日前から発熱し,血液培養から酵母様真菌が陽性となり入院した.当初カンジダ血症を考えて治療を開始したが,時間経過とともにコロニーが黒色化したことや鏡検で菌糸を形成したことからExophiala属による感染が疑われ,シーケンスにより同定された.リポソーマルアムホテリシンBの投与と中心静脈カテーテルの抜去により軽快した.
Exophiala属の同定は一般の医療機関では困難であるが,培養の過程で時間経過に伴うコロニーの黒色化や菌糸の形成がみられた場合には,Exophiala属を鑑別にあげることが重要である.
Key words | Exophiala dermatitidis, 真菌血症, 黒色真菌, カテーテル関連血流感染症, 小児 |
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連絡先 | 鈴木貴大 〒183-8561 府中市武蔵台2-8-29 東京都立小児総合医療センター総合診療科 |
受付日 | 2017年7月27日 |
受理日 | 2017年12月22日 |
小児感染免疫 30 (1):33─37,2018
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