機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

当院で経験した生後90日未満のヒトパレコウイルス3型感染症7例の検討

松内 祥子1), 阿部 暁子1), 大通 尚1), 前田 勝子1), 清水 行敏1)

1)山形市立病院済生館小児科


ヒトパレコウイルス3型(human parechovirus-3:HPeV-3)は新生児・早期乳児の発熱の原因となり,敗血症様症状など重篤な臨床症状を呈するとされている.HPeV-3感染症と他の発熱疾患の鑑別に有用な臨床的特徴と検査所見を後方視的に検討した.対象は2016年8月から10月に当院に入院した生後90日未満のHPeV-3群7例とその他の発熱疾患群(対照群)20例である.HPeV-3群の7例中6例で頻脈,網状チアノーゼ,多呼吸などの敗血症様症状を認め,5例で腹部膨満による臍突出や呻吟が出現し,5例で解熱前後に掌蹠紅斑が出現するという経過をたどった.HPeV-3群は対照群よりも入院時の白血球数(中央値5,710/μL vs. 9,860/μL;p<0.005)と血小板数(中央値33.3万/μL vs. 43.5万/μL;p<0.01)が有意に少なかった.Albの最低値(中央値2.9 g/dL vs. 3.9 g/dL;p<0.005)は有意に低値であり,LDH(中央値370 U/L vs. 271 U/L;p<0.02),フェリチン(中央値1,924 ng/mL vs. 321 ng/mL;p<0.005),尿中β2ミクログロブリン(中央値9,094 μg/L vs. 912 μg/L;p<0.05)の最高値は有意に高値であった.これらの所見は本症の鑑別に有用である.

Key words ヒトパレコウイルス3型, 新生児・早期乳児, 敗血症様症状, フェリチン, 尿中β2ミクログロブリン
連絡先 松内祥子 〒990-8533 山形市七日町1-3-26 山形市立病院済生館小児科
受付日 2017年4月10日
受理日 2018年1月31日

小児感染免疫 30 (1):19─25,2018

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