機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

小児副咽頭間隙膿瘍に対する頸部造影CT検査の有用性の検討

西尾 洋介1), 河野 好彦1), 原 紳也1)

1)トヨタ記念病院小児科


副咽頭間隙膿瘍とは頸動脈鞘周囲に存在する深頸部領域における膿瘍であるが,深頸部膿瘍全体の約15%を占める比較的まれな疾患である.病変は主要血管・神経と近接するために重篤な合併症を起こしうる.それ故に,治療選択ならびに治療効果判定を適切に行うことが重要である.今回われわれは,当科における副咽頭間隙膿瘍の4症例について造影CT検査による治療効果判定に着目して後方視的に検討した.2013年4月から2016年10月において,副咽頭間隙膿瘍と診断した4例を対象とした.初期治療としては全例で抗菌薬による保存的治療が選択された.全例で体温および白血球数,CRP値は治療後に経時的改善を認めたが,1例では2回目の造影CT検査において膿瘍腔の拡大を認め最終的に外科的ドレナージを行った.3回目のCT検査では全例で膿瘍腔の縮小を認めた.
内科的治療の効果判定として2回目の造影CT検査施行は重要であり治療開始2~3日目にCT検査を施行し膿瘍腔のサイズが増大しなければ内科的治療を継続できる指標になりうる可能性がある。しかし,3回目のCT検査は必ずしも必要とはいえず医療被曝低減を考慮して症例毎に選択すべきである.

Key words 深頸部膿瘍, 副咽頭間隙膿瘍, 造影CT検査, 保存的治療, 外科的ドレナージ
連絡先 西尾洋介 〒471-8513 豊田市平和町1-1 トヨタ記念病院小児科
受付日 2017年9月4日
受理日 2018年1月11日

小児感染免疫 30 (1):10─17,2018

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