─症例報告─
急性発症から膿瘍形成し慢性化に至ったA群β溶連菌性踵骨骨髄炎の1例
黒田 浩行1), 佐藤 厚夫1), 小原 真奈1), 豊福 明和1), 城 裕之1)
1)労働者健康安全機構横浜労災病院こどもセンター小児科
発症後早期より抗菌薬療法を行ったにもかかわらず, 膿瘍を形成し,慢性化に至ったA群β溶連菌性踵骨骨髄炎の1例を経験した.症例は発熱と右踵痛で発症した7歳女児で,第4病日にMRI上の右踵骨骨髄浮腫像と血液培養陽性(A群β溶連菌)から同菌による急性踵骨骨髄炎と診断した.アンピシリンの投与を行うも踵部痛と血液学的炎症マーカー陽性が持続し,第31病日の再検MRIで踵骨に膿瘍形成が確認された.膿瘍掻爬術施行後の経過は順調で,慢性骨髄炎として計6か月間の抗菌薬療法により後遺症なく軽快した.急性骨髄炎は早期治療を行っても慢性化することがあり,臨床症状や検査所見の異常が遷延する場合には,積極的に画像検査の再検を検討する必要があると考えられた.
Key words | A群β溶連菌, 踵骨骨髄炎, 急性骨髄炎, 膿瘍, 慢性骨髄炎 |
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連絡先 | 黒田浩行 〒230-8765 横浜市鶴見区下末吉3-6-1 恩賜財団済生会横浜市東部病院小児科 |
受付日 | 2017年5月25日 |
受理日 | 2017年12月21日 |
小児感染免疫 29 (4):357─361,2018
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