─症例報告─
膿胸腔の多房化により胸腔鏡下手術を要した難治性肺炎随伴性胸水の1例
小泉 瑛子1), 伊川 泰広1), 谷内江 昭宏1)
1)金沢大学附属病院小児科
肺炎随伴性胸水(PPE)は,抗菌薬投与のみで改善するuncomplicated PPEから侵襲的治療介入を要するcomplicated PPEや膿胸まで様々である.今回video-assisted thoracoscopic surgery(VATS)を要したcomplicated PPEの小児例を経験した.症例は交通事故の後遺症で重症心身障害児となった13歳男児.左急性肺炎に対して経静脈的抗菌薬投与を行うも症状の改善なく,数日間で左胸腔が胸水で充満された.画像検査では左胸腔に多房化の所見を認めた.経皮的胸腔ドレナージを試みたが不応でありVATSが選択された.胸腔鏡下で無数の隔壁を形成する醸膿膜を除去し膿胸腔を単一化した.術後,左肺の拡張は良好で再燃や後遺症なく退院となった.PPEに対する保存的治療が難しい小児例では,安全性の観点から線維素溶解療法が選択されることが多い.しかしVATSの安全性が向上し,症状の改善も速やかであることから,小児例でも症例により積極的なVATSの選択が考慮されるべきである.
Key words | 肺炎随伴性胸水, 胸腔鏡下手術, 多房化胸水 |
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連絡先 | 伊川泰広 〒920-8641 金沢市宝町13-1 金沢大学附属病院小児科 |
受付日 | 2017年6月29日 |
受理日 | 2017年10月26日 |
小児感染免疫 29 (4):351─356,2018
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