─症例報告─
黄色ブドウ球菌による化膿性筋炎を発症した新生児の1例
松田 奈央子1), 藤森 誠1), 浜田 洋通1), 髙梨 潤一1)
1)東京女子医科大学八千代医療センター小児科
化膿性筋炎の新生児症例の報告は少ない.われわれは,日齢25の化膿性大腿四頭筋炎の1例を経験したため報告する.入院時は全身状態不良で熱源不明の新生児発熱として入院したが,入院5日目に右大腿部腫脹を認め,MRIによって筋炎と診断した.複数の血液培養からメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された.3週間の抗菌薬投与を行い,経過は良好で,その後8か月の段階で再燃は認めていない.化膿性筋炎は診断,治療が遅れると膿瘍形成や骨融解を引き起こすことがあり,早期の診断と治療開始が重要である.本症例は初発症状が発熱のみであり,局所所見の出現が遅れ,診断に時間を要したが,後遺症なく軽快した.熱源不明の新生児発熱においては,本疾患も念頭におき,経過中も詳細な全身診察を繰り返すことが重要である.
Key words | 化膿性筋炎, 新生児, 黄色ブドウ球菌 |
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連絡先 | 松田奈央子 〒700-8558 岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学病院小児神経科 |
受付日 | 2016年11月28日 |
受理日 | 2017年8月14日 |
小児感染免疫 29 (4):345─350,2018
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