機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

市中病院における感染症科へのコンサルテーション106例の検討

清水 彰彦1), 樋口 徹2), 伊東 宏明2), 上原 貴博2)

1)亀田メディカルセンター感染症科 2)同 小児科


本邦で小児感染症の専門研修を受けた医師は少なく,多くの施設では小児感染症専門家へのアクセスは限られる.当院小児科から感染症科へのコンサルテーション症例を解析し,感染症科へのニーズを検討した.2006年1月から2015年8月に,感染症科が小児科診療に関わった症例を抽出した.対象は106例で,小児科病棟から82例,新生児集中治療室から14例,小児科外来から10例であった.年齢中央値は3歳(IQR 0~6歳)であった.耐性菌感染症などに対する抗菌薬選択(33例),治療期間(20例)に関する内容が多かった.カルバペネム使用許可コンサルテーションは17例で,主に重症感染症や耐性菌感染症であった.4例でカルバペネム以外の抗菌薬を推奨した.熱源精査(11例),病棟感染管理(9例)などのほか,性感染症,結核など小児にまれな感染症に関するコンサルテーションもあった.研究期間後半のコンサルテーション件数は減少したが,カルバペネム使用許可コンサルテーションは減少しておらず,耐性グラム陰性菌による感染症の増加が一因であった.院内の感染症科医との連携は,専門的対応が必要な感染症を診察する小児科医にとって有用である.

Key words 感染症コンサルテーション, 感染症専門医, 抗菌薬適正使用, antimicrobial stewardship program(ASP)
連絡先 清水彰彦 〒286-8523 成田市飯田町90-1 成田赤十字病院感染症科
受付日 2017年8月2日
受理日 2017年11月2日

小児感染免疫 29 (4):322─330,2018

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