─原著─
血尿を呈した小児患者におけるBKウイルス検出の意義
石井 翔1), 張 慶哲1), 福岡 かほる1), 山中 崇之1), 村井 健美1), 磯貝 美穂子1), 相澤 悠太1), 堀越 裕歩1)
1)東京都立小児総合医療センター感染症科
ヒトポリオーマウイルスに属するBKウイルスは,小児期にほとんどが無症候性または軽症の自然感染をする.造血幹細胞移植後などの免疫抑制下で再活性化し,出血性膀胱炎や尿管狭窄を起こすが,本邦での尿中BKウイルスを検出した小児報告例は少ない.2013年4月から2016年6月に東京都立小児総合医療センターで,血尿を呈し尿中BKウイルスのリアルタイムPCRを施行した症例において,BKウイルス陽性群と陰性群の臨床像の比較を行った.施行したのは17例で年齢中央値は9歳であった.17例中7例でBKウイルスが検出され,いずれも血液腫瘍疾患・固形腫瘍・原発性免疫不全症などの基礎疾患を有していた.BKウイルス陽性のうち4例(57%)が造血幹細胞移植後であり,移植後症例はいずれも免疫抑制薬を投与中であった.BKウイルス陽性例と陰性例の比較では,臨床像の特徴に有意な差は認められなかったが,陽性例で年齢が高く,CRPが低い傾向が認められた(p<0.1).出血性膀胱炎に対しては支持療法を行ったが,血小板輸血に至った3例は,いずれも造血幹細胞移植後であった.免疫不全児の血尿では,BKウイルスが鑑別として重要である.
Key words | BKウイルス, リアルタイムPCR, 免疫不全, 造血幹細胞移植, 出血性膀胱炎 |
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連絡先 | 石井 翔 〒183-8561 府中市武蔵台2-8-29 東京都立小児総合医療センター感染症科 |
受付日 | 2017年2月2日 |
受理日 | 2017年9月4日 |
小児感染免疫 29 (4):316─321,2018
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