─原著─
BCGワクチン接種後乳児における核酸増幅法検査のピットフォール
越智 史博1,2), 田内 久道1), 石井 榮一1)
1)愛媛大学大学院医学系研究科小児科学 2)市立八幡浜総合病院小児科
【背景】乳児ではMycobacterium tuberculosisに対する排菌を評価するため胃液を用いた核酸増幅法検査(NAAT)が施行されることが多い.今回われわれは,コッホ現象を疑った3か月男児で,ツベルクリン反応陰性であったにもかかわらず,胃液を用いたNAATが陽性を示した症例を経験した.この原因を明らかにするため,BCG接種後に施行されるNAATがM. tuberculosis感染以外で陽性となる可能性について検討した.
【対象と方法】BCGを接種した乳児7名(男2名,女5名)を対象とした.BCG接種後0,2,4,6日目に口腔粘膜ぬぐい液を採取し,NAATを施行した.
【結果】7名中3名(男1名,女2名)で結核菌群DNAを検出した.2名が0日目,1名が2日目に陽性となったが,いずれも4,6日目には陰性化した.
【考察】BCG接種部に残存したBCG液が手指を介して口腔に付着し胃内に嚥下され,胃液のNAATが陽性となる可能性が示唆された.コッホ現象を疑いNAATを施行する際には病歴や他の検査結果と併せて検査結果を総合的に判断する必要がある.
Key words | 乳児, 核酸増幅法検査, 結核, BCGワクチン, Mycobacterium bovis |
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連絡先 | 越智史博 〒791-0295 東温市志津川 愛媛大学大学院医学系研究科小児科学 |
受付日 | 2017年5月25日 |
受理日 | 2017年8月4日 |
小児感染免疫 29 (4):311─315,2018
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