機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─第48回日本小児感染症学会招待講演─

感染症予防・治療の適正化:Antimicrobial Stewardship Programなどにみるトロント小児病院での多職種連携

伊藤 真也1)

1)トロント小児病院(トロント大学)
Division of Clinical Pharmacology Hospital for Sick Children
〔555 University Avenue, Toronto, Ontario, Canada M5G1X8〕
Phone: (+1) 416-813-7413 Fax: (+1) 416-813-7562 email: shinya. ito@sickkids.ca


Antimicrobial Stewardship Program(ASP)は抗菌薬使用の適正化を病院レベルで行うことを目的に導入され,現在は北米の病院に必須の活動と位置づけられている.病院レベルでの活動という点からも医師や薬剤師など,多職種が連携しないと効果的な運営は難しい.カナダのトロント小児病院のASPを紹介したが,これを日本のASP活動の参考にするには注意が必要である.まず,ASPのような活動はその土台にある医療制度や人的資源を考えないと参考になりにくい.まずカナダや欧米の国々と日本は人口比の医師数などはほぼ同様だが,病床あたりの医療従事者数が日本は極端に少ない.日本は人口比の病床数が,例えばカナダの4~5倍にあたるからでもある.またカナダには小規模の医院形態の病院は存在しない.このことからも抗菌薬使用を適正化しようとすると比較的大きな病院だけを対象にすれば事が足りるうえスタッフの配置も可能だが,日本ではどうだろうか.また,多職種連携のためには医師の教育にもチームワーク,リーダーシップなどが研修項目として必要である.カナダの専門医教育の指針の中にはASP活動に言及している感染症専門医の研修項目が存在する.日本で効果的なASPを運用するには,これらの点にも考慮が必要であろう.

小児感染免疫 29 (3):281─286,2017

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