機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第29巻第3号目次 > 抄録

─原著─

広島市中病院における肺炎球菌ワクチン導入前後の侵襲性肺炎球菌感染症の発生動向

田村 ベリース結実1,2), 松原 啓太2), 松原 千春2), 佐藤 友紀2), 下薗 広行2)

1)市立三次中央病院小児科
〔〒728-8502 三次市東酒屋町531〕
2)広島市立舟入市民病院小児科


わが国において小児の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)が導入されたことにより激減した.一方で,非ワクチン含有血清型によるIPDの増加が懸念されている.今回われわれは,一医療圏におけるPCV導入前後のIPDの発生動向について検討した.2007年1月から2015年12月の間に,広島市立舟入市民病院小児科を受診したIPD症例50例を対象にPCV導入前(2007~2009年),PCV導入早期(2010~2012年),PCV普及期(2013~2015年)に分けて菌株の莢膜血清型,薬剤感受性について後方視的に検討した.対象となった症例は化膿性髄膜炎7例,菌血症43例であった.症例数はPCV導入前が25例,PCV導入早期が18例,PCV普及期が7例と減少を認めた.血清型もPCV7含有血清型がほとんどみられなくなり,非PCV7含有血清型の割合が増加していた.薬剤感受性は2013年以降ペニシリン耐性株が減少傾向にあるものの,統計学的な有意差は認めなかった.広島市域医療圏におけるIPD症例の減少,非PCV含有血清型の相対的な増加が確認された.

Key words 広島市, 莢膜血清型, 侵襲性肺炎球菌感染症, 沈降肺炎球菌結合型ワクチン, 肺炎球菌
受付日 2017年2月27日
受理日 2017年5月18日

小児感染免疫 29 (3):241─248,2017

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