機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第29巻第3号目次 > 抄録

─原著─

2008~2014年入院治療例の臨床的検討に基づく小児ムンプスの疾病負荷

川口 将宏1), 西村 直子1), 鬼頭 周大1), 春田 一憲1), 小澤 慶1), 野口 智靖1), 藤城 尚純1), 後藤 研誠1), 竹本 康二1), 尾崎 隆男1)

1)江南厚生病院こども医療センター
〔〒483-8704 江南市高屋町大松原137番地〕


2008年4月~2014年3月の6年間に,当院での小児のムンプス受診患者数は513例で,その中の91例(18%)が入院を要した.本研究ではこれら入院例について後方視的検討を行った.入院例は全例が血清学的にムンプスと確定診断されている.年齢は1.1~14.9歳(中央値5.5歳)で,4~6歳児が53%を占めた.入院理由は髄膜炎疑い63例,熱性けいれん9例,経口摂取不良7例,膵炎疑い6例の順であった.耳下腺腫脹を86例(95%)に,顎下腺腫脹を42例(46%)に認めた.56例(62%)が髄膜炎,1例(1%)が精巣炎を合併したが,脳炎,難聴および膵炎は認めなかった.全例にムンプスの既往歴はなく,ムンプスワクチン接種歴は未接種83例(91%),1回接種7例(8%),不明1例(1%)であった.ワクチン接種後罹患の7例は,IgMおよびIgG抗体価の推移から2次性ワクチン不全と考えられ,うち1例が髄膜炎を合併した.いまだに多数のムンプス自然感染患者が入院していること,そして2次性ワクチン不全によるワクチン接種後罹患の入院例も少なからず存在することから,ムンプスワクチンの接種率向上と2回接種の必要性が示された.

Key words ムンプス, ムンプスワクチン, 髄膜炎, ワクチン接種後罹患
受付日 2017年1月12日
受理日 2017年7月14日

小児感染免疫 29 (3):227─233,2017

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