─症例報告─
髄液検査・画像検査・脳波検査で異常所見を認めなかったインフルエンザウイルス感染後の非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の1例
喜多 佳世1), 本井 宏尚2), 渡辺 好岐2), 鏑木 陽一1), 小林 慈典1)
1)国立病院機構横浜医療センター小児科
〔〒245-8575 横浜市戸塚区原宿3-60-2〕
2)横浜市立大学付属市民総合医療センター小児科
症例はインフルエンザウイルスA型に感染し,解熱後に見当識障害が出現した13歳の女児.髄液検査,頭部MRI検査,脳波検査で異常を認めず,無治療で軽快した.後に血液・髄液中よりNMDA型グルタミン酸受容体に対する抗体が検出され,非ヘルペス性急性辺縁系脳炎(non-herpetic acute limbic encephalitis: NHALE)と診断した.NHALEは神経学的後遺症を残す症例も見受けられ,予後良好な疾患とは言い難い.また早期治療が予後を改善する可能性があるため,早期診断は重要である.インフルエンザウイルスに感染し,解熱後に見当識障害を認める場合は,画像,髄液検査,脳波検査で異常所見を認めなくてもNHALEを考慮する必要がある.
Key words | 非ヘルペス性急性辺縁系脳炎, 抗グルタミン酸受容体抗体, インフルエンザウイルス |
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受付日 | 2016年11月14日 |
受理日 | 2017年3月27日 |
小児感染免疫 29 (2):160─164,2017
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