─原著─
黄色ブドウ球菌の外毒素と疾患の検討
張 慶哲1), 福岡 かほる1), 山中 崇之1), 村井 健美1), 古市 美穂子1), 相澤 悠太1), 伊藤 健太2), 荘司 貴代3), 堀越 裕歩1)
1)東京都立小児総合医療センター感染症科
〔〒183-8561 東京都府中市武蔵台2-8-29〕
2)あいち小児保健医療総合センター総合診療科
3)静岡県立こども病院小児感染症科
黄色ブドウ球菌は病原性が高く,病原因子の一つは菌の産生する外毒素である.SE(staphylococcal enterotoxin),TSST-1(toxic shock syndrome toxin-1),ET(exfoliative toxin)などが毒素作用およびスーパー抗原として特定の疾患の原因となる.外毒素と疾患との関連については報告が少なく,本研究では2010年9月から2016年3月に東京都立小児総合医療センターを受診した,黄色ブドウ球菌感染症症例を対象に検討を行った.230症例のうち62.2%で1種類以上の毒素が検出され,SE陽性例が46.1%,TSST-1陽性例が26.5%,ET陽性例は13.5%であった.各疾患群で比較すると,骨関節感染症ではSEA(staphylococcal enterotoxin type A)の陽性率が31.3%と高く,皮膚軟部組織感染症ではETA(exfoliative toxin type A)の陽性率が4.8%,ETB(exfoliative toxin type B)の陽性率が19.8%と高かった.また,ET陽性例は全例が皮膚軟部組織感染症症例であった.
Key words | 黄色ブドウ球菌, エンテロトキシン, 外毒素, TSST-1, スーパー抗原 |
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受付日 | 2016年12月5日 |
受理日 | 2017年3月16日 |
小児感染免疫 29 (2):141─147,2017
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