機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─日本小児感染症学会薬事委員会報告─

オセルタミビルリン酸塩(タミフル®)の小児1歳未満に対する投与量および3 mg/kg/dose投与時の使用実態調査の結果報告書

佐藤 吉壮1), 新庄 正宜1), 森 雅亮1), 尾内 一信2), 堤 裕幸3)

1)日本小児感染症学会薬事委員 2)日本小児感染症学会現理事長 3)日本小児感染症学会前理事長


インフルエンザは,インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症であり,重症化しやすい疾患である.特に小児のインフルエンザ感染においては,重度の合併症として脳症を発症する場合がある.わが国において,1歳未満の新生児,乳児を対象とした内服薬の使用が望まれていたなかで,オセルタミビルが米国で2012年に1歳未満を対象にした投与が承認された.わが国でも,2013年に日本小児感染症学会および他2学会と共同で厚生労働省の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に開発要望を提出し,2015~2016年にかけて使用実態調査を実施した.欧米で承認されているオセルタミビル3 mg/kgの用法用量で22例(1例は予防投与)のデータが集積された.オセルタミビル1回3 mg/kgを1日2回5日間投与で,21例中18例が90%以上のアドヒアランスを示し,18例で臨床的に有効であると判断された.また,有害事象は全22例の少数での検討ではあるが,海外で発現がみられた嘔吐,下痢などを含み1件も認められなかった.以上から,オセルタミビルは乳児のインフルエンザ治療において有用な手段であると考える.

Key words インフルエンザウイルス, 新生児, 乳児, オセルタミビル

小児感染免疫 29 (1):83─88,2017

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