─症例報告─
肉芽腫様肺病変に対してステロイド投与が有効であった慢性肉芽腫症の乳児例
三宅 淳1), 後藤 憲志1), 屋宮 清仁1), 多々良 一彰1), 中嶋 洋介1), 寺町 麻利子1), 田中 悠平1), 山下 裕史朗1)
1)久留米大学医学部小児科
〔〒830-0011 久留米市旭町67〕
今回,新生児期より繰り返す発熱を認めた慢性肉芽腫症(chronic granulomatous disease:CGD)の症例において抗真菌薬,抗菌薬多剤で治療するも治療に反応しなかった肉芽腫様肺病変に対してステロイド全身投与が著効した症例を経験したため報告する.症例は日齢14の男児である.発熱を主訴に前医受診し,感染部位の全身精査を目的に各種培養検査(髄液,血液,鼻咽腔,便,尿,臍周囲)を提出し,抗菌薬による治療を開始された.発熱を繰り返し,画像検査で肺,肝臓に腫瘤性病変を認めたため当院紹介となった.当院入院後に慢性肉芽腫症を疑い,抗菌薬,抗真菌薬による治療を行うも肺病変の改善を認めず,炎症反応高値も持続した.好中球殺菌能の低下,遺伝子検査でgp91phoxの異常を認めX連鎖CGDと診断した.白血球数の持続高値,Gaシンチグラフィの集積や造影CTでの均一な造影所見から局所での過度の炎症が,病変が改善しない原因と考え,プレドニゾロンを1 mg/kg/dayを2週間投与した.投与終了後,肺病変および炎症所見は著しく改善したが,徐々に炎症所見の再増悪を認め,1カ月後に再度プレドニゾロンを1 mg/kg/dayを4週間投与した.投与終了後,炎症所見も改善し再増悪もなく,画像上も病変部は著しく縮小し,ステロイドが著効したと考えられた.
Key words | 慢性肉芽腫症, 肉芽腫様肺病変, 真菌感染, 乳児, ステロイド |
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受付日 | 2016年3月10日 |
受理日 | 2017年1月26日 |
小児感染免疫 29 (1):29─37,2017
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