機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第29巻第1号目次 > 抄録

─原著─

最近7年間の小児上部尿路感染症における起因菌と薬剤感受性

藤城 尚純1), 西村 直子1), 鬼頭 周大1), 春田 一憲1), 小澤 慶1), 川口 将宏1), 野口 智靖1), 後藤 研誠1), 竹本 康二1), 尾崎 隆男1)

1)江南厚生病院こども医療センター
〔〒483-8704 江南市高屋町大松原137〕


2008年4月~2015年3月の7年間に,上部尿路感染症により97例の小児(日齢15~15歳5カ月)が入院し,うち9例は反復入院であった.初回入院時の年齢中央値は5カ月で,男児51名,女児37名であった.77%が膿尿を呈し,45%にvesicoureteral refluxを認めた.分離菌97株のうち,Escherichia coliが70%と最も多く,Enterococcus faecalis 13%,Klebsiella pneumoniae 5%の順であった.E. coliの43%がampicillinに耐性を示し,25%がcefditorenまたはcefdinirに耐性を示した.また,E. coliの10%,K. pneumoniaeの20%がextended spectrum β-lactamase(ESBL)産生菌であった.ESBL産生菌が分離された8例のうち,4例は尿路に基礎疾患のない初発例であり,残る4例は基礎疾患を有していた.2004~2006年にわれわれが行った調査成績と比較して,セフェム系経口抗菌薬の耐性率が上昇した.また,前回の調査にはなかったESBL産生菌が認められ,起因菌の抗菌薬耐性化傾向が示唆された.

Key words 尿路感染症, Escherichia coli, ESBL, 薬剤感受性
受付日 2016年9月12日
受理日 2017年1月30日

小児感染免疫 29 (1):9─15,2017

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