機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第29巻第1号目次 > 抄録

─原著─

MRワクチン2回接種後(第2期,第3期)の血清抗体持続に関する検討

根来 麻奈美1), 中村 晴奈1,2), 長尾 みづほ1,2), 谷口 清州1,2), 菅 秀1,2), 藤澤 隆夫1,2)

1)国立病院機構三重病院臨床研究部
2)同 小児科
〔〒514-0125 津市大里窪田町357〕


2006年4月から麻しん・風しん混合(MR)ワクチン2回目の接種が就学前に定期接種として導入され,時限措置として,2008年4月からの5年間は中高生を対象に第3期,第4期接種も実施された.MRワクチン2回目接種後における長期的な免疫原性に関する報告は少ないため,第2期と第3期での接種6年後の血清抗体価を検討した.対象は,第3期で2回目接種の時期に相当した18歳,19歳(第3期群)と,第2期で接種している小学6年生(第2期群)とし,EIA法で麻疹,風疹抗体価を測定した.両群とも麻疹・風疹の平均抗体価は8 EIA価以上であり,第3期群と第2期群で有意差は認められなかった.抗体陽性率は,麻疹で第3期群が93.1%,第2期群が86.8%,風疹では第3期群が92.0%,第2期群が77.4%となり,麻疹では有意差がなかったが,風疹では有意差が認められた.風疹は流行が完全に阻止されてはいないため,ブースター効果が否定できないが,第3期ではMRワクチン2回目接種により得られた6年後の抗体は良好に維持されていると考えられた.第2期では今後流行の減少に伴い抗体価が低下する可能性もあり,長期的な観察が必要と思われた.

Key words MRワクチン, 麻疹抗体, 風疹抗体, 接種時期, 抗体維持
受付日 2016年6月5日
受理日 2016年12月8日

小児感染免疫 29 (1):3─8,2017

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