機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第28巻第4号目次 > 抄録

─原著─

当院で経験した家族性地中海熱非典型例の小児2例

大谷 清孝1), 稲垣 瞳1)

1)相模原協同病院小児科
〔〒252-5188 相模原市緑区橋本2-8-18〕


家族性地中海熱(familial Mediterranean fever:FMF)非典型例の小児2例を経験した.症例1は7歳男児.3歳から約1~3カ月間隔で発熱期間が72時間以上のこともある発熱を反復し,ときに腹痛を認めていた.7歳時に急性腹症の疑いにて,近医から当院に紹介となった.当院受診時,腹膜刺激症状を認めず,CRP高値(12.2 mg/dl)を認めた.各種画像検査から腸間膜リンパ節炎が疑われ,受診後,約5日間で解熱した.また腹痛の合併が少ない発熱を反復していたがFMFを疑い,MEFV遺伝子解析によりexon 5上のSer503Cys/normalの変異を認めた.診断的治療のためにコルヒチンの内服を開始し,発作が減少したことからFMF非典型例と診断した.症例2は8歳男児.数年前からときに発熱を合併する腹痛を反復し,近医で便秘と診断されていたが,遷延する腹痛精査のため当院に紹介となった.発作間欠期に炎症反応の上昇を認めず,膠原病や器質的な疾患は否定的であった.また周期的な腹痛が主体で38℃以上の発熱が少なかったがFMFを疑い,MEFV遺伝子解析によりexon 2上のLeu110Pro/Glu148Glnの変異を認めた.診断的治療のためにコルヒチンの内服を開始後,発作が減少したことからFMF非典型例と診断した.非定型的な臨床症状でも反復する場合はFMFを鑑別にあげ,MEFV遺伝子解析を施行することが大切であると考えられた.

Key words 自己炎症性疾患, 家族性地中海熱, MEFV遺伝子, 小児, コルヒチン
受付日 2016年6月30日
受理日 2016年11月28日

小児感染免疫 28 (4):271─277,2017

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