─原著─
両肺野にびまん性肺結節陰影を認めた川崎病の1例
五十嵐 梨紗1,2), 清水 博之2,3), 神垣 佑2), 伊藤 秀一4)
1)国立病院機構横浜医療センター小児科
〔〒245-8575 横浜市戸塚区原宿3-60-2〕
2)横浜市立大学附属市民総合医療センター小児総合医療センター
3)同 感染制御部
4)横浜市立大学附属病院小児科
急性期川崎病の胸部単純X線異常所見は15~60%にみられ,その多くは末梢気道や血管内の炎症に起因すると考えられている.間質性陰影を呈した川崎病の報告は過去にもいくつかあるが,多発する結節影を呈した川崎病の報告は少ない.症例は8カ月男児.発熱5日目に川崎病主要症状の5項目を満たし,川崎病と診断した.入院時に酸素化障害を認め,胸部単純X線とCT検査で両肺野にびまん性に多発する結節影を認めた.結節性病変の鑑別を進めつつ,第5病日に初回の大量免疫グロブリン療法(IVIG)を施行したが川崎病症状の改善を認めず,第8病日にIVIGを追加投与した.その後は解熱し,川崎病症状も消失した.川崎病の臨床的な改善とともに酸素化障害や肺結節影の改善を認めたため,川崎病による肺野の異常陰影であったと判断した.2015年インフリキシマブが初回免疫グロブリン不応の川崎病に対し保険適用を取得し,今後わが国では処方機会が増加するものと思われる.その際には感染症の除外が重要であるが,本症例のように川崎病の炎症性変化として肺にびまん性多発結節影をきたすことがあるため,その判断は慎重に行う必要があると考えられた.
Key words | 川崎病, 多発肺結節影, CT, 結核, インフリキシマブ |
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受付日 | 2016年5月23日 |
受理日 | 2016年12月5日 |
小児感染免疫 28 (4):265─270,2017
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