─原著─
4種3剤の生ワクチンを初回同時接種した関節型若年性特発性関節炎の2例
兼安 秀信1), 脇口 宏之1), 木畑 鉄弘1), 岡﨑 史子1), 長谷川 俊史1), 大賀 正一1)
1)山口大学大学院医学系研究科医学専攻小児科学講座
〔〒755-8505 宇部市南小串1-1-1〕
若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)における治療の主体は免疫抑制療法である.その治療中に感染症,特にvaccine preventable diseaseへの罹患および重症化を防止するためにはワクチン接種が重要である.しかし乳児JIA患者においては,発症時に生ワクチンの初回接種を完了していないことがある.その場合には,治療開始前に可及的速やかに接種する必要があるため,同時接種が望ましい.健常児における複数の生ワクチンの同時接種は,一般的に広く安全に行われているが,JIA患児においてその安全性および有効性について十分な検討はされておらず,わが国のガイドラインでも明確な指針は示されていない.
筆者らは関節型JIAの1歳児2名に対し,4種3剤の生ワクチン(麻疹・風疹,ムンプス,水痘)の初回同時接種を,安全かつ有効に行うことができた.この2症例は,今後JIA乳児における生ワクチン接種スケジュールを考慮するうえで有用な情報を提供するものである.
Key words | 若年性特発性関節炎, 免疫抑制剤, 生ワクチン, 同時接種 |
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受付日 | 2016年5月9日 |
受理日 | 2016年10月20日 |
小児感染免疫 28 (4):257─263,2017
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