─原著─
中等症細菌性下気道感染症に対するtebipenem pivoxilの有用性の検討
田代 克弥1)
1)佐賀大学医学部小児科
〔〒849-8501 佐賀市鍋島5-1-1〕
経口カルバペネム抗菌薬であるtebipenem pivoxil(TBPM-PI)の小児市中下気道感染症に対する有効性について単一施設で検討を行った.全身状態が保たれている中等症の細菌性下気道感染症24例(入院16例,外来8例)を対象とし,TBPM-PIは4~5 mg/kgを2回/日で最長7日間投与した.2日間の投与で効果が認めなかった1例を除く23例(95.8%)には,有効もしくは著効であった.治療前後において白血球数14,580/μl→7,470/μl,好中球の割合64.5±18.5%→39.5±18.1%,CRP 7.43 mg/dl→0.43 mg/dlと著明に改善した.患者より分離された肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラキセラ・カタラーリス31株に対するMICは,すべて2 μg/ml以下であった.また,注射抗菌薬治療を受けた中等症下気道感染症例28例との比較検討では,治療開始1日後の解熱のみ注射用抗菌薬治療群で有意であった以外は,血液検査の改善いずれも両群間に差がなく,治療効果は同等であった.一方,入院期間はTBPM-PI群において有意に短縮されていた.以上より,全身状態が比較的保たれている小児の中等症細菌性下気道感染症に対して,TBPM-PIは有用な治療選択肢の一つであることが改めて示された.
Key words | 小児, 市中下気道感染症, テビペネムピボキシル |
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受付日 | 2016年10月7日 |
受理日 | 2016年7月26日 |
小児感染免疫 28 (3):191─199,2016
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