─原著─
早産児の血清IgG値に影響を与える因子―出生時と退院時における血清IgG値の後方視的検討―
橋本 真1), 大野 真由美1), 五十嵐 リサ1), 堤 裕幸1)
1)札幌医科大学医学部小児科学講座
〔〒060-8543 札幌市中央区南1条西16丁目〕
早産児では母体からIgGの移行が少なく,出生時の血清IgG値が低値である.しかし早産児の血清IgG値に影響を与える因子はわかっていない.今回,当院NICUで出生した在胎30週未満の児において,出生時50例(在胎週数の中央値27.2週)および退院時33例(修正週数の中央値36.4週,日齢の中央値63)の血清IgG値を後方視的に検討した.出生時の血清IgG値は在胎週数と正の相関を示したが(r=0.699,p<0.001),妊娠合併症や母体への薬剤投与の有無,性別,初産/経産,SGA/AGA/HGAでは出生時血清IgG値に有意な差を認めなかった.退院時血清IgG値は31例(94%)で出生時より低下しており,200 mg/dl未満の症例は26例(79%)であった.児への薬剤投与や輸血の有無,動脈管開存症・脳室内出血の有無,栄養方法,体重増加(良好/不良)では退院時血清IgG値に有意な差を認めなかった.今回の結果からは早産児の血清IgG値に影響を与える母体および胎児因子,生後の経過および治療を明らかにすることはできなかった.早産児では,退院時においても低IgG血症が持続していた.
Key words | 早産児, 免疫グロブリン, 低IgG血症, 易感染性, 液性免疫 |
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受付日 | 2016年5月9日 |
受理日 | 2016年7月21日 |
小児感染免疫 28 (3):185─190,2016
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