機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

BCG未接種例における未接種の理由

西村 正道1)

1)川崎市多摩区役所保健福祉センター(多摩保健所)
〔〒214-8570 川崎市多摩区登戸1775-1 多摩区役所9階〕


BCG未接種例における未接種の理由を明らかにし,接種率向上への方策を導き出すべく,後方視的調査を行った.A市におけるBCG接種は2016年3月まで「保健所における集団接種」により実施されていたが,そのなかにあって2014年度のA市B区にて生後10か月の時点でBCG定期接種がなされていない児に対し電話による接種勧奨が行われ,定期接種となる12か月までの接種が促された.この電話の記録簿などを用い,2013年5月から2014年4月に出生した児を対象として,(1)(任意による)BCG接種の有無,(2)未接種例における未接種の理由(一部では他の予防接種歴の有無)について調査した.電話は40例になされ,未接種26例,既接種6例,不明8例であり,未接種例のうち9例では,その後2か月以内に接種がなされた.残る17例はその2か月間を経過後も未接種であり,未接種の理由の内訳は,基礎疾患に伴う主治医の指示(2例),欧米への転出(1例),副反応への不安(1例),親の信念・方針(8例),頻回の感冒・喘鳴(2例),上腕の湿疹(1例),近日接種予定(2例)であった.「親の信念・方針」とした8例のうち6例では,他の予防接種もすべて未接種だった.BCG定期接種の対象者にはそれを受ける努力義務が課せられているのみであり,接種率向上への方策は専ら接種勧奨の時期や方法に関する工夫に限られる.

Key words BCG, 未接種, 理由
受付日 2016年2月10日
受理日 2016年7月7日

小児感染免疫 28 (3):167─172,2016

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