機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第28巻第3号目次 > 抄録

─原著─

コンサルテーションによる小児感染症フェローシッププログラム教育の有効性の評価

堀越 裕歩1), 伊藤 健太1), 船木 孝則2), 庄司 健介2), 宮入 烈2), 荘司 貴代3), 齋藤 昭彦4)

1)東京都立小児総合医療センター感染症科
〔〒183-8561 府中市武蔵台2-8-29〕
2)国立成育医療研究センター感染症科
3)静岡県立こども病院小児感染症科
4)新潟大学医学部小児科学教室


近年の小児感染症領域の進歩は早く,多岐にわたる専門性が要求される.コンサルテーション型の教育プログラムは1994年に北米で先行して導入され,国内でも2008年に国立成育医療研究センター,2010年に東京都立小児総合医療センターで開始された.すべての小児科領域からコンサルテーションとして感染症症例が集約するため,短期間で効率的に経験が積めるのが利点である.国内のコンサルテーション型の小児感染症教育の質的評価の報告はなく,構造化質問票にて指導医からの評価,フェローの自己評価を両施設で行った.評価項目は,米国およびカナダの研修要綱を参考にし,44項目を設定した.評価対象はフェロー16名で,指導医は8名であった.約2年の研修を終えたフェローは平均で到達目標に達していた.特に性感染症,HIV,熱帯感染症,渡航感染症などの評価が低くかった.次に感染制御,抗菌薬の適正使用プログラム,先天性免疫不全,自己炎症性疾患,細菌検査の質管理でも評価が低かった.全体的にはプログラムは教育目的を達成できており,有効であると考える.一方,評価が低かった項目は,院外研修の導入,プログラム修正などの改善が必要である.

Key words 小児感染症, 臨床教育, コンサルテーション, 専門医制度, フェローシップ
受付日 2016年3月2日
受理日 2016年7月7日

小児感染免疫 28 (3):159─165,2016

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