─原著─
水痘ワクチン定期接種化前6年間の水痘および帯状疱疹の小児入院例
日尾野 宏美1), 西村 直子1), 川口 将宏1), 武内 俊1), 服部 文彦1), 堀場 千尋1), 後藤 研誠1), 細野 治樹1), 竹本 康二1), 尾崎 隆男1)
1)江南厚生病院こども医療センター
〔〒483-8704 江南市高屋町大松原137〕
水痘ワクチン定期接種化前6年間に水痘または帯状疱疹のため当センターに入院した小児42例について,臨床像を後方視的に調査した.水痘入院は30例,入院率は3%であった.年齢中央値は3.1歳(日齢28~19.0歳),6歳以下で93%を占めた.入院理由は症状の増悪が14例(47%)で最も多く,合併症として肺炎を1例,細菌性皮膚炎を1例に認めた.ワクチン接種後罹患は2例(7%)あり,ペア血清の抗体価から2例は二次性ワクチン不全と考えられた.帯状疱疹入院例は12例で,年齢中央値は10.1歳(2.0~15.0歳),男女比は1:2と女児に多かった.入院理由として発熱と疼痛が大半を占め,3例(25%)に中枢神経系合併症(髄膜炎2例,顔面神経麻痺1例)を認めた.9例(75%)には水痘罹患歴が認められた.水痘罹患歴のない3例のうち,2例にワクチン接種歴があったが,検出されたVZV DNAの解析結果はともに野生株であった.定期接種化後の両疾患による入院の動向に注目していきたい.
Key words | 水痘, 帯状疱疹, 水痘ワクチン, 定期接種 |
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受付日 | 2016年3月9日 |
受理日 | 2016年6月20日 |
小児感染免疫 28 (3):145─151,2016
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