機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第28巻第3号目次 > 抄録

─原著─

川崎病における免疫グロブリン療法後のリバウンド熱に対する管理指針の提案

灘 大志1), 佐藤 厚夫1), 津久井 理絵1), 城 裕之1)

1)労働者健康安全機構横浜労災病院こどもセンター小児科
〔〒222-0036 横浜市港北区小机町3211〕


免疫グロブリン大量療法(IVIG)を施行した川崎病症例において,一度解熱した後に再発熱する,いわゆるリバウンド熱(以下,リ熱)を認める例をときに経験するが,それを検討した報告は少ない.今回,リ熱の特徴と再発熱症例の管理について検討する目的で,過去5年間に初回IVIG療法後24時間以上の解熱が得られた初発川崎病症例178例を後方視的に解析した.リ熱は34例(19%)に認め,平均13時間で自然解熱した.リ熱あり群と再発熱なし群では,診断からIVIG終了までの症状や検査所見,使用したIVIG製剤の種類に有意差を認めなかった.リ熱あり群の全例で冠動脈後遺症を認めなかった.本研究から,初回IVIG療法終了後から72時間以内に発熱をきたした症例において,感染症が否定され,発熱以外の川崎病再燃を示唆する臨床症状や血液学的炎症反応の悪化がない場合は,リ熱疑いとして24時間程度経過観察する管理指針案を提案する.

Key words 川崎病, 小児, 炎症, リバウンド熱, 免疫グロブリン療法
受付日 2016年3月2日
受理日 2016年6月1日

小児感染免疫 28 (3):139─143,2016

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