─原著─
Extended-spectrum β-lactamase産生大腸菌による感染性頭血腫の1例
能登 孝昇1), 福田 あゆみ1), 中崎 公隆1), 桃木 恵美子1), 渕上 達夫1), 藤田 之彦2), 稲毛 康司1), 高橋 昌里1)
1)日本大学医学部小児科学系小児科学分野
2)同 医学教育企画・推進室
〔〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1〕
吸引分娩にて出生時より頭血腫・硬膜外血腫を認めた男児.日齢30に発熱,哺乳力低下を主訴に入院した.血液・尿培養にてextended-spectrum β-lactamase(ESBL)産生大腸菌を検出した.頭血腫は増大し,入院5日目に試験穿刺し同菌を検出した.Meropenemを投与し,定期的な穿刺排膿にて入院10日目に症状は改善した.小児例でのESBL産生菌の報告は増加しているが,わが国での感染性頭血腫での報告例は本症例が初めてであった.頭血腫を伴う重症感染症で抗菌薬の効果が不良な場合は,頭血腫への感染を疑い,早急に試験穿刺および培養検査を考慮し適切な抗菌薬を選択すべきである.
Key words | extended-spectrum β-lactamase産生大腸菌, 感染性頭血腫, 尿路感染症, 菌血症 |
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受付日 | 2015年12月9日 |
受理日 | 2016年5月23日 |
小児感染免疫 28 (2):105─109,2016
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